「松丸本舗」閉店の日、
大量の本を抱えてレジに並んでいたところ、
そういえば松岡正剛自体の本を一冊も買っていないことに気付いた。
迷わず買ったのが、この本。
日本史上、最大の巨人を挙げろ、と言われれば、
僕は迷うことなく、空海、と答える。
仏教は勿論のこと、文学、言語学、美術、教育・・・
実践者としてもプロデューサーとしても、
彼が日本の、いや東洋の文化史に与えた影響は計り知れない。
先日、伯父の葬儀があった。
読経の声を聞くうちに、「仏教の身体性」ということについて、
あらためて考えさせられた。
南都仏教が、教義一辺倒に偏る中、
仏教に身体性を注ぎ込んだのが、
まさに空海ではなかっただろうか。
彼の著作は多くあるが、
僕のレベルでは十分に理解することは難しい。
そのためには解説書が必要なわけだが、
松岡正剛のこの本こそは、
僕のような素人が空海を理解するには、
司馬遼太郎の「空海の風景」と並んで、最適なのだと思う。
この本を読めば、
インドに生まれた密教が、東の果てに行きついて、
空海という巨人として結実したのは必然であったと、
納得ができる。