あんまりこのブログで悪口を書くと、
あいつは性格が悪い、などと思われても困るので、
最低限揚げ足取りみたいなことは避けようと心掛けてはいるのだが、
でも、この本にはひとこと言いたい。
自分は科学者であると言い、そして「妖怪古生物学」なるものを標榜しておきながら、
あとがきにおいて、「これはフィクションである」と予防線を張ることが、
情けなさすぎる。
自分の説に自信がないのであれば、
「妖怪古生物学」という学問である、などと大風呂敷を広げるのは、
おやめなさいな。
そして科学者の立場で学問について語るのであれば、
どれだけ荒唐無稽な説であっても、堂々としていればいいのである。
ただ、この本に書かれている内容は、
学問とは程遠い、空想と妄想の世界なので、
著者自身も、その理想と現実のギャップに戸惑っているようだ。
たとえば、
「肉食動物にツノがあるものはいない」
というのは、良い目の付け所だと思うが、
それによって、「ゆえに鬼にツノがあるのはおかしい」とは言えないのではないか。
なぜならば、
そもそも鬼とは、進化論に従う現実世界の動物ではない、
単なる空想の生物だからであって、
空想の生物に対してまでも、現実世界のルールを適用しようとしているところに、
この本の大前提のミスがある。
もちろん、自らに都合の良い箇所ではそうなってはいないのであるが・・。
なので結論としては、「ムー」や「トカナ」と同じ感覚で読むことをおすすめしたい。