またもや、とりとめのない話。

家の近所を歩いてたら、とある建物の下記のような貼り紙が目に入った。

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開局時間変更のお知らせ
○:○○⇒○:○○
—————

「開局」というと咄嗟にテレビ局か?と思ってしまうが、
まさかこんな東京の外れにそんなものがあるはずもなく、

あらためてその建物を見ると、「薬局」、
成程、「開店時間」ではなく「開局時間」であることに納得した。

「局」が、そういう「場所」を意味するものだということは分かるが、
なんとなく決まった語にしか付かない気もする。

たとえば、

テレビ局
放送局
薬局
郵便局
事務局
運輸局
水道局
・・・・・
・・・

といった具合だ。

これには何か法則はあるのか?
そもそも、「局」という漢字は何者だ?

こういう疑問が生じると、
調べなくては気が済まないのがukiyobanare流儀。

おなじみ『諸橋大漢和』で「局」を引くと、
解字の項目にこんな風に書いてある。

—————————
「尺」と「口」の合字。
「尺」はものさし、または正しい意。
「尺」の下に「口」を加え、口をすぼめて言語をつつしむこと。
転じて、曲、又、分部の義とする。
—————————

ものさしの下に口がくると、
なぜ口をすぼめることになるのか、正直よく分からん。

とりあえずものさしだというのだから、
区切る、区別する、という意味があり、

そこから「区切られたもの」、
すなわち部屋、場所といった意味にもなる、
と大まかに理解した。

さて、『諸橋大漢和』には「局」の意味を23も挙げているが、
それをつぶさに調べると、4番目に、

「官庁・執務するへや」

とある。

・・・これだ!

要するに、「局」とは単なる場所や部屋ではなく、
「官庁」つまりオフィシャルな場所なのであり、

もっと現実に即して言えば、
「公のライセンスをもった人員が務める場所」
ということなのだ。

たしかに「薬局」に努めるには薬剤師の資格が必要だし、
「テレビ局・放送局」は放送業者の資格が必要、
郵便局も然り。

念のため「薬局」を調べてみると、
「薬剤を調合するところ」とあり、

「薬店」を調べてみると、
「薬を売る店」とある。

現在では薬を売るだけでも薬剤師は必要なはずだが、
上記『諸橋大漢和』の説明では明らかに「薬局」と「薬店」は区別しており、
「薬局」には薬剤師が必須だということが読み取れるのである。

そう考えると、「事務所」というよりも「事務局」といった方が、
どことなくエラいというか、権力的というか、
そんなイメージがあるのも頷ける。

このように、「局」という語自身が堅苦しい意味をもっているので、
いくら親しみを込めたところで、

「郵便局員さん」「水道局員さん」

とは呼ばず、

「郵便屋さん」「水道屋さん」

と呼んだ方が、親しみの気持ちが伝わるということなのだろう。

ちょっとしたところに、
いろいろと学びのネタは転がっているものである。

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