スペイン・コロンビア合作のSF映画。
最近のSF作品では、「孤独な宇宙旅行」を描いた作品がやたらと多い。
これがホラーになると、例えばエイリアンシリーズのように、
最初はたくさんいた宇宙船の乗員がひとりひとり惨殺される、、
という展開になるわけだが、
あれも結局は、最終的には主人公だけが残るという、
要するに「宇宙での孤独」というテーマが、
根底にあると言っていい。
我々ヒトは、あまりにも社会の中で馴れ合いで生きることに慣れてしまったから、
本当の意味での孤独というものを知らない。
だからその「孤独」を映画で描くとするならば、
宇宙空間という設定が適切だということなのかもしれない。
さてこの作品も、
美人なお嬢さんが宇宙船で孤独な旅をするという場面から始まります。
直接的には語られないが、流れから想像するに、
どうやら汚染が進んだ地球を棄てて脱出した宇宙船で、
酸素量を気にした両親が、娘だけを残したということらしい。
つまりお嬢さんは、生まれてから20年間、
両親以外の誰とも接することなく、宇宙空間を旅してきた。
そこに、酸素供給装置の具合が悪いということで、
修理船がドッキングされる。
現れたのは、あらイケメンのエンジニア。
二人は当然そういう関係になります。
若いって素晴らしい。
エンジニアはまだ眠る彼女を置いて、
冷たくその場を去るわけですが、
ここでこの映画の最大のドンデン返しが現われます。
実はここ、彼女が過ごしていたのは宇宙船ではなく、
「宇宙船に見立てた」地下のシェルター。
来るべき宇宙移民に備え、
果たしてヒトが長期間の宇宙旅行に耐えうるかどうかを試す、
彼女はいわばモルモットだったというわけだ。
一度はその場を去ったエンジニアの彼は、
やがて彼女を騙すことにいたたまれなくなり、
彼女をシェルターから連れ出すことに成功する。
そこから後は、
幸せに過ごす二人、連れ出したことがバレて追われる二人、
そしてついに彼女が捕まり、二人が取った行動とは・・・!!!
うん、期待値が低かっただけに結構観れる作品だった。
最初は陳腐な宇宙船孤独旅の映画なのかな、と思いきや、
前半早々に種明かしがされるわけで、
そこから先も、いくつかツッコミどころはあるものの、
ギリギリのラインで水準を保っていたかな。
あと、二人が最終的な決断をしてから結末までの流れが、
あぁそうなるか、とややカタルシス的なハッピーエンドだったことも心地よい。
まぁ正直、クローンがどうのこうのというくだりは、
無理やり「科学的な幅」を持たせようとした蛇足のようにも思えたが。
適正価格(劇場換算):1,450円