古本屋の閉店セールで叩き売られていたのと、
巻末の解説で遠藤周作が「名著」だと絶賛していたのとで、
心理学という自分にはかなり疎い分野ながらも、
読んでみることにした。
夢や無意識、あるいは多重人格など、
人には、もう一人の自分ともいうべき「影」の部分が多かれ少なかれ存在する。
それはなぜ生じるのか、そしてそれが生じることでどうなるなのか、
我々はそれにどう対処すべきなのか、を解説した本である。
古今東西の文献や芸術作品、また実際の臨床での例を引用しながら、
素人にも分かり易く解説しており、
なるほど、門外漢の自分でも、優れた著作だということが分かる。
ただまぁ、何というか、
正常と異常とは紙一重というか、果たしてどこからを病気と呼ぶべきなのか、
もしかしたら近代人は皆病人なのではないか、
と言えなくもないような気がしてきて、
要するに、人には必ず存在する「影」の部分を否定するのではなく、
自身の一部として上手くつきあっていくことで、
「正常であるように」自らをコントロールしていくしかない、
ということなのかなぁと。