「偉人たちのあんまりな死に方」(ジョージア・ブラッグ )

タイトル通り、偉人たちの「生き様」ではなく「死に様」を、
かなりディテールにまで踏み込んで紹介した本。

本書で採り上げられている人物は、

ツタンカーメン、カエサル、クレオパトラ、コロンブス、ヘンリー八世、
エリザベス一世、ポカホンタス、ガリレオ、モーツァルト、マリー・アントワネット、
ワシントン、ナポレオン、ベートーヴェン、ポー、ディケンズ、
ジェームズ・A・ガーフィールド、ダーウィン、マリー・キュリー、アインシュタイン

といった面々である。

ただこの本のタイトルには、かなり誇張がある。

どういうことかといえば、
医療の発達した現代であれば、苦しまずに亡くなることが、
だいぶ可能になってきた(経験したことないから分からないが)。

ただ、本書に紹介されている偉人たちの生きた時代においては、
ちょっと体調が悪ければ、やれ瀉血だ、やれヒルによる吸血療法だ、などと、

かなりの「荒療治」がなされていたわけで、
しかも消毒も麻酔もない時代。

そりゃあ、ラクな死に方はしないに決まってるだろう、と。

ましてやマリー・アントワネットのような、
(言うまでもなく)断頭台に送られた人を挙げればキリがないし、

アインシュタインに至っては、別に特殊な死に方をしたわけではなく、
死んだあとの彼の「脳」の扱いのエピソードを取り扱っているだけで、

要するにこの本は、
死にまつわるあれこれと、古代~近世の医療の在り方、
みたいなものを何となく知ることができる、
ぐらいだと思った方がいいかもしれない。

あるいは、偉人たちの終焉部分だけにスポットライトを当てた、
やや特殊な伝記集とでも呼ぶべきか。

文章はとても平易に書かれているため、
移動中の暇つぶしぐらいにはちょうどいい。