メンデルが遺伝学の扉を開いて以来、
ワトソンとクリックがDNAの二重螺旋構造を発見し、
ドーキンスが生物とは遺伝子の乗り物であると唱え、
生命と情報(遺伝子)とは、
不可分の関係となったはずなのだが、
我々はインターネットやAIなど、
「情報を扱う」ことに夢中になってしまった感がある。
生命と情報の関係のみならず、
熱力学第二法則とは、
もしかしたら情報伝達・拡散の別の姿かもしれず、
またシュレーディンガーが述べたように、
「生命は負のエントロピーを食べている」のであれば、
生命活動-情報-エントロピー
のように、情報を軸として、
生命活動と物理法則とを俯瞰することはできないものかと、
普段から漠然と考えていた自分にとって、
この本はまさに、ドンピシャな内容だった。
松岡正剛の「千夜千冊」から、
特定のテーマのみを抜き出して、
加筆・修正されたこのシリーズ。
やはり久々に「セイゴウ節」に触れると、
ワクワクする反面、
知の海に放り出されたような不安があり、
そしてそれが一周巡って、
また楽しみとなってくる読書体験。
ここで紹介されている書物の中で、
特に、「生命を捉えなおす」(清水博)は、
まさに生命とエントロピーの関係について切り込んでおり、
これを含めて何冊かについては、
この年末年始に取り寄せてみようと思う。
現時点の僕の考えとしては、
生命とは複雑にネットワークされた情報そのもので、
というか、この世に存在するものは、
すべて情報であり、データであり、
生物・非生物を問わず、
要はその「型」の違いによって、
見た目や性質が異なっているのではないかと。
そういう視点で、
あらためて世の中を見渡してみれば、
既知の科学法則や事象のつながりが、
なんとなく見えてくるような気もしている。