三人寄れば文殊の知恵、
という言葉がある一方で、
船頭多くして船山に登る、
というのもある。
要するに、
たとえば会議などにおいて、
参加者の数が多いことには、
メリットもデメリットもあるわけなのだが、
これが物体間に働く重力の話になると、
物体の数が増えれば増えるほど、
話は断然ややこしくなってくる。
「物体の数が増えれば増えるほど」
というよりも、
現状厳密に解を出せる(解がある)のは、
2物体まで、という表現が正しいかもしれない。
そもそも、物体の運動を考えるにあたり、
「解く」とはどういうことなのか、
そして、三体問題とは何なのか、
という話から始まり、
オイラーの「直線解」や、
ラグランジュの「正三角解」といった、
特殊条件下での解、
また、「十字解」や「8の字解」といった、
特殊解の紹介を経て、
一般相対性理論の効果を考慮した、
三体問題の検討へと、
進んでいくわけであるが、
結論としては、
やはり三体問題は「解けない」。
まぁ解けないということは、
最初から勿論知っていたわけで、
この本の価値としては、
一体何が問題で、なぜ解けないのか?
ということを、
考えさせてくれるきっかけになることだろうか。
ネタに困ったとき、
気分転換をしたいときは、
ブルーバックスに助けられる。