2015年に、BBCが制作したTV映画。
原作は、
劇作家プリーストリーによる同名の作品で、
イギリス本国では、誰もが知っている、
というレベルらしい。
1時間半に満たない映画ながら、
ストーリーはもちろん、
脚本や役者陣の演技等々、
すべてが見事な出来映えで、
TV映画とはいえ、
かなりの高クオリティだ。
一応、ストーリーを紹介すると、
作品の舞台は、第一次大戦前夜、
絵に描いたような上流階級一家の晩餐会。
一家4人と、その娘の婚約者の5人で、
和やかな食事を終え、
食後のお茶にしようとしたその時、
突然の訪問客が現れる。
その人物は、グール警部と名乗り、
数時間前に自殺を遂げた若い女性について、
その場にいる全員から事情を聴きたいという。
何のことやらさっぱり分からない5人。
しかし、グール警部の毅然とした聴取により、
5人のそれぞれが、
自殺した女性と何らかの接点があったことが、
段々と明るみとなり、
家族同士の疑心暗鬼や、
上流階級であるがゆえの傲慢、
そして人間の醜さが、
次々に描かれることとなる。
5人とも実は、
女性と接点がありました!
というだけでは、
ただの昼ドラ的な安っぽい作品だなー、と、
観ながら思っていたのだが、
グール警部が真実をすべて暴露させて、
その場を去ったあと、
ストーリーは急展開することとなり、
ここからの二転三転が、
実に見応えがある。
事実が次々と明らかになり連鎖する、
というミステリー要素もさることながら、
人間の醜さというものを、
正面から描いたドラマ要素の方が、
やはり印象深いかな。
もちろん謎のままの部分も、
あるにはあるのだけれど、
どうやら原作もそのようだし、
すべてに合理的な解釈を与えられることが、
この作品における大事な点ではないので、
正直、そこはあまり気にならない。
これはオススメできる良作でしょう。
適正価格(劇場換算):1,800円