映画「ビバリウム」(2019年、ベルギー・デンマーク・アイルランド合作

ベルギー・デンマーク・アイルランド合作の、
2019年のスリラー映画。

不動産屋に、
とある住宅街の一軒家を紹介された、
若いカップル。

しかしそこは、
どこまでも同じ家が建ち並び、
決して抜け出せない住宅街。

脱出を諦めてその家で暮らすうちに、
どこからともなく届けられるダンボール。

中には、赤ん坊。

凄まじいスピードで成長する、
得体の知れぬ子供とともに、
最悪の日々を送る主人公カップル。

果たして、ここから脱出できるのか…?

いわゆる不条理スリラー(?)、
ってやつなんでしょうけれど、
これは好きだなー。

グロいシーンもエグいシーンもなく、
全編ほぼ3人の登場人物が、
淡々と日常を送りながらも、

でも描かれるのは、
いわゆる「日常」ではなく、
「異常」な世界。

「日常」と「異常」とが、
紙一重で存在することを、
暗示している映画なのかもしれないが、

まぁ、そんな難しいことを考えずとも、
ひたすら惹き込まれる。

ヨーロッパ映画独特の、
絶妙なテンポ感で、
「トゥルーマン・ショー」ばりの世界を描くのだけれども、

でもあちらには救いがあったが、
こちらに救いはない。

ひたすら絶望、ひたすら暗い。

ジメジメとした暗さ・怖さではなく、
まるで北欧の空気のように(経験したことないが)、
カラッとしている分、

後味が悪いということはないが、
でもまぁ、なかなか心に刺さる逸品。

脚本がシンプルなだけに、
役者の演技力が問われるわけだが、

主人公カップルの特に女性役が、
かなりの熱演で見応えがあった。

これはなかなかの掘り出し物だったかな。

適正価格(劇場換算):1,800円