実際の事件をネタとした、
2018年、フランスの法廷サスペンス。
大学教授ヴィギエの妻スザンヌが、
突然の失踪。
ヴィギエが犯人なのではと疑われ、
マスコミも騒ぎ立てるが、
一審は無罪。
それを不服とした検察側が、
異例の控訴を行い開かれた、
二審がこの映画のメインとなる。
弁護側は、
スザンヌの愛人が怪しいと睨み、
彼の通話録音を綿密に解析するが、
決定的な証拠が掴めない。
かといって、
ヴィギエが犯人であるという、
証拠もない。
検察側も弁護側も、
決定打を欠いたまま、
陪審員による判決が、
いよいよ下されることになる…。
実話を元にしているので、
あっといわせるトリックとか、
どんでん返しの類いは皆無で、
むしろ地味に、
人間ドラマを描くことに重点を置いている。
特に弁護側の協力者として、
献身的に活動する女性(ノラ)を中心とした、
家族の絆や、
シングルマザー(?)の強さ・生き方といった要素が、
クローズアップされており、
憎々しく描かれた検察側の人々との、
コントラスト効果もある。
「疑わしきは罰せず」
を力説する弁護側の最終弁論は、
この映画のクライマックスとして、
聴き応え十分であり、
その後の判決に続く流れは、
文字通り手に汗握る展開となっている。
難点を上げるとするならば、
人物関係がイマイチ掴みづらいのと、
事件当時の回想シーン的なものがなく、
すべての情報は、
人物から語られるだけなので、
状況のディテールが、
なかなか頭に入ってこないこと。
まぁ可もなく不可もなく、
社会派ドラマの佳作、
といった感じだろうか。
適正価格(劇場換算):1,400円