東京に38年間(もうすぐ39年)住んでいると、
大概のエリアには足を運んでいるものだが、
それでも、北東エリアは、馴染みが薄い。
隅田川と荒川、そして南側の総武線に囲まれた地域は、
今でこそスカイツリーが出来て多少は賑わってはいるが、
押上よりも北、東武スカイツリーライン(旧:東武伊勢崎線)でいえば、
曳舟~鐘ヶ淵あたりは、足を踏み入れたこともなく、
何度か電車で通過したときに、きっとディープなんだろうな、と思ってはいた。
スカイツリーができる前は、旧・業平橋の駅あたりの寂れ度合も相当のもので、
浅草から東武線に乗って、隅田川を渡るときの、
あの何とも言えない哀愁みたいな感覚は、今ではもう味わえないのだろう。
さて、先日、津軽三味線の勉強会で、初めて曳舟駅で降りてみた。
まず驚いたのが、東武スカイツリーラインと東武亀戸線、
それと、京成押上線の3路線も通っているということ。
(そもそも東武亀戸線なんてのがあるとは、知らなかったぞ・・)
次に驚いたのは、その割には、駅前が寂しかったこと。
でも、これはまぁ、想定通り。
ここに住んだらきっと毎日でも通いたくなるであろう、
シブい居酒屋が軒を並べていた。
そして当然ながら、
勉強会を行った墨田区の施設も寂しいこと、この上なし。
2つ先の「鐘ヶ淵」もそうだが、「曳舟」というのは駅名だけで、
地名(住所名)としては存在していない。
広重の「江戸百」には「引きふね」としてラインナップされているし、
調べてみれば、もともとは「曳舟川」という川があったとのこと。
「曳舟」っていう文字づらは、なんとなくロマンチックで嫌いじゃない。
ところで、東京都内で、しかも僕の知っている限り、駅名というのは、
大体、住所の一部から取るか、近くのランドマーク名から取るか、
どちらかのパターンが普通であって、
「曳舟」とか「鐘ヶ淵」とかは、どちらにも当てはまらず、
そういう意味でもマニアック。
帰りは、案の定、浅草まで歩いてみる。
途中、スカイツリーのすぐ下を通ったときに見上げて思ったのは、
やはり塔というのは、ある程度のボリュームというか、根本部分の太さがないと、
美しくないな、ということ。
おそらくは現代の建築技術により、
太さなどなくても、耐性は高いのかもしれないが、
細く、まっすぐ立つその姿は、まさに「アンテナ」。
ま、実際アンテナなわけだし、
そうだと思えば別に見た目なんてどうでもいいのだけれど、
近くに住んで毎日眺めたとしたら、殺風景というか、
なんか怖く思えてくるような気がしてならない。
次に訪れてみたい、でも、用事がないと絶対に訪れないだろうなという場所は、
「舎人」(とねり)。
舎人ライナーができて日暮里とつながったのはまだ最近のことで、
それまではまさに陸の孤島。
「舎人レポート」をここで報告する日が、いつか来るだろうか。
[…] 今日は、人生2回目の曳舟へ。 […]