世の中には、説明が困難な法則があるもので。
ベンフォードの法則とは、
ランダムの数字群がある場合に、その最初の桁の数字は、
1が一番多く、順番に少なくなり、
9の場合が最少になる、というもの。
※もちろん、住所や電話番号のような、
人為的に割り振られた数字群の場合は成り立たない。
具体的には、頭の1桁めがnである確率は、
log10(1+1/n)
で与えられる。
つまり、頭が1の場合の確率は約30%なのに対し、
9の場合は、4.6%にまで低下する。
僕もにわかには信じられなかったので、
検証してみることにした。
太陽系にある、全61の衛星(冥王星のカロンも含む)の軌道長半径について、
データを取ってみる。
※ただし、最初の数値が「0」であるフォボスは除くので、実質60個。
1桁めの数値が1:23個(38.3%)
1桁めの数値が2:11個(18.3%)
1桁めの数値が3:5個(8.3%)
1桁めの数値が4:4個(6.6%)
1桁めの数値が5:7個(11.6%)
1桁めの数値が6:7個(11.6%)
1桁めの数値が7:2個(3.3%)
1桁めの数値が8:1個(1.6%)
1桁めの数値が9:0個(0%)
それぞれの割合(%)にはズレがあり、
1桁めの数値が5及び6の場合は、若干多くなってはいるが、
それでも、冒頭が1の場合が最も多く、
9の場合が最も少ない、というのは歴然としている。
もう1つやってみよう。
全天88星座の面積(単位は平方度)を調べてみる。
1桁めの数値が1:25個(28.4%)
1桁めの数値が2:21個(23.8%)
1桁めの数値が3:7個(7.9%)
1桁めの数値が4:8個(9.0%)
1桁めの数値が5:8個(9.0%)
1桁めの数値が6:6個(6.8%)
1桁めの数値が7:4個(4.5%)
1桁めの数値が8:4個(4.5%)
1桁めの数値が9:5個(5.6%)
頭の1桁めが1の場合が最も多く、
数値が大きくなるにしたがって、
だんだんと少なくなるという傾向が、確かに見て取れるではないか。
(「9」の場合は5個だが、誤差約1%は無視してよかろう)
どちらの場合も、頭の1桁めは、
1~9のいずれの数値にも(公平に)なる可能性があるのに、
なぜこのような分布を示すのかは、ちょっと説明できない。
これが、「ベンフォードの法則」である。
恐るべし。