歌野 晶午 作「密室殺人ゲーム2.0」(講談社文庫)
3部作の2作目。

前作の終わり方が、
なかったかのように、

本作は進んでいくので、
あれっ?と思ったけれど、

読んでいくうちに、
なるほどな、と。

「2.0」というのは、
「Web2.0」の概念と一緒で、

要するに、
事象が閉じることなく、
拡散していくこと。

本作でいえば、
主人公たちの「殺人ゲーム」の、
模倣グループが出現した、
という設定。

ただ前作同様、
本作もそんな「設定」は、
ほとんどどうでもよく、

肝になるのは、
主人公グループたちが、
次々に出題する、
推理ゲームにある。

そして読者としては、
その推理ゲームを解くというよりも、

個性あふれる主人公たちが、
どうでもいい話も交えながら、

喧々諤々、あーだこーだと、
自分の推理を述べていき、
叩かれ、貶され、褒められ…

そのプロセスが、
実に小気味よいのである。

それにしても、
出題者が自ら殺人犯となり、

それをネタに、
推理ゲームを行うというのは、
刺激的で新鮮だね。

ひとつひとつのネタも、
かなり練られていて、
一作目以上に唸らされる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です