千葉 聡 著「進化という迷宮 隠れた『調律者』を追え」(講談社現代新書)

とにかく、文章が面白い。

カタツムリの専門家である著者が、
その道を選んだ理由や、
学生時代のエピソード、
小笠原でのフィールドワークの逸話、
などなど、

巧みな文章術で、
読み手を惹き込んでゆく。

内容の方はというと、
ちょっとグールド色が強すぎるかな…。

個人的な親交もあったようなので、
仕方ないというか、
それが本書の特徴といえば、
それまでなのだが、

グールドの説をベースに進化を語り、
そして結論としては、

彼の説を半分は肯定しつつも、
半分は否定するという、

その結論自体は、
まぁそうなのかもしれないが、

そこまでグールドにこだわらなくても、
論旨は展開できるだろうに、
と思ってしまう。

ということで、
多少はグールドの著作に触れていないと、
本書の魅力は半減してしまうだろう。

あとは、ここで語られるのは、
あくまでもカタツムリの話なので、

それが、生物の進化とは、
こういうものだ、

というふうに、
一般化してよいのかどうかは、
正直よく分からない。

ともあれ、
新書としては、
かなりの読み応えがある。

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