軽妙洒脱。
ワーグナーやヴェルディじゃあるまいし、
18世紀のイタリアオペラは難しいことを考えずに純粋に楽しめばいい。
モーツァルトの「コジ」(僕が中学生の頃は「コシ」だった)なんかは、
その典型。
しかも今回は、舞台を現代イタリアのキャンプ場「Alfonso」に設定し、
何から何まで現代風にアレンジ。
けれどそこは演出の冴えだろう。
不自然なところは一つもなく、
むしろそんな設定でも違和感を感じさせないモーツァルトの音楽には、
あらためて感心するしかなかった。
というか、全部のアリアが美しい。
特に第二幕のフィオルディリージの、
「いとしいかたよ,愛する心のこのあやまちを許して~」は圧巻。
今回配役されたマリア・ルイジア・ボルシは、
声量・存在感とも十分で、
この日一番の聴かせ所だったことは間違いない。
それにしても思ったことは、オペラ歌手も大変だな、と。
まさか今回の演出のように、
ジーンズやレザーパンツを履いたまま、
モーツァルトを歌うことになろうとは予想もしていなかっただろう。
でも観ている方からすると、
そんな要素もオペラ鑑賞の楽しみの一つになる。