自分からは、決して読まないタイプの本なのだけれど、
実家に帰ったときにもらったので、読んでみた。
途中、何度も挫折しそうになった。
内容はともかく、書き方が、とても出版されるレヴェルではない。
小説やエッセイならともかく、
苟も歴史について述べるのであれば、断言している部分の出典ぐらいは明示するのがルールである。
それがなく、私見なのかどうなのかも曖昧なままに、
7割近くの文末を「~のである」という断定型で畳み掛けてくるのは、
あわよくば読者を信じ込ませようとする手法のようにとれなくもない。
ひとつだけ例を挙げると、
本書の終わり近くで、明治政府における天皇統帥権の原因は、南北朝時代にある、
と述べているのだが、その論拠はどこにあるのだろうか。
歴史上、同じような事象が生じることは、少なからずありうる。
それらを都合よく採用して、因果関係で結びつける、というのは、まさに牽強付会、
真面目に読むことが馬鹿らしくなってくる。
学部の卒論でも、もっと緻密な論展開をするものだ。
そのほか、全体的に、「日本人の霊魂観」とうたっているわりには、
端折っている箇所が多々あり、どうしても都合よく書かれているとしか思えない。
それに、明治政府の制度や憲法を語るうえで、
当時の世界各国(特にドイツ)と比較を全く行わず、
日本国内の過去の事例にのみ、その原因を求めようとするのは、あまりにも論外。
こういう本を読むと、もう学校教育から日本史なんて教科は廃止して、
世界史をとことん教えるべきだと思ってしまう。
世界史の中における日本というものを理解しないから、
右寄りの人も左寄りの人も、頭の中が極端になってくる。
高等学校において、英語で世界史を教える、というぐらいにならないと、
日本人はいつまでたってもグローバル化しないのかもしれない。