Xファイル的なひやかし本かと思いきや、
ところがどっこい(死語)、真面目なサイエンスの本である。
ある種の細菌は、
とても生物が生存できないと思われていた環境でも、
平気で暮らしていることが次々に明らかになっており、
広大な宇宙において、
地球以外に生命はいない、と思う方が、
もはや難しくなってきている。
僕もそう思う。
少なくとも我々の太陽系は、
かなり恵まれた環境ということもあり、
火星やエンケラドスで生命が発見されたとしても、
ちっとも驚かない。
それどころか、
ボイジャー1号の船体にびっしりと“宇宙産”の細菌がこびりついていたとしても、
まぁそんなもんかな、と思う。
しかし、知的生命体となると話は別である。
地球の歴史を、何千回、何万回も繰り返してみても、
見たことのないような生物が登場する可能性はあるが、
ヒトのような知的生命体まで進化する確率は、
ほぼゼロだろうと思う。
宇宙線や隕石などの地球外からの脅威、
火山噴火や生物間の競争などの地球内でのリスク。
初期の生命体がヒトまで進化した道のりは、
限りなくクリアが困難なサバイバルゲームだったと言える。
ちなみに、この本の著者は、
知的生命体への進化は、それほどのレアケースではない、
という結論に立っている。
それはそれでよいと思う。
誰も答えを知らないのだから。
ミクロからマクロな空間まで。
生命の謎に対して科学的アプローチを試みた良書だと思う。