オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~

登場人物、ひとり。
台詞、ほぼゼロ。

この特異な映画を演じるのは、名優ロバート・レッドフォード。
本作でも鬼気迫る演技を披露している。

スマトラ沖でヨットが遭難し、救命ボートで漂流する老人が、
孤独な闘いを経て、そして絶望へ・・・。

絶体絶命の状況にも関わらず、落ち着いて対応する経験豊富な海の男の演技と、
じわじわと忍び寄る最期の時へ向けての微妙な心境の変化をじっくり味わう作品である。

台詞は、飲料水のボトルが壊れていて、中身が海水になってしまっていることを知ったときに叫んだ「F●ck!」と、
近くを通り過ぎたタンカーに向けての「Help!」という二つのみだったと思う。

特にストーリーもなく、ひたすら静かにサバイバルを続けるという、
単純であるからこそ、逆に深い映画になっている。

こういう作品は、テレビでは絶対無理だし、小説だと説明だらけになって面白くない。
まさに映画にうってつけの設定であって、久々に「映画らしい映画」を観たような気がした。

適正価格:2,000円