高校に入るか入らないかの頃、
夢野久作、稲垣足穂、澁澤龍彦といった、
「ハミ出し文学」として久生十蘭も読んでいた記憶がある。
あれから20年以上経ったいま、
本屋の棚の隅にたまたま見つけたので、
懐かしさ半分で購読してしまった。
洗練された文体、行間に漂うエスプリ、程よい艶めかしさ。
この感覚は誰かの作品に似ている、と思ったらアポリネールだった。
(勿論、大学の第三外国語のフランス語で挫折してしまった自分は、
アポリネールを原文で読んだことなどないので、
全くの見当外れかもしれないけれども。)
誤解を恐れずに言えば、センスのある文章、
たまにこういう文体に触れると、
すっとしたような何とも言えない心地になる。