谷内六郎の絵には、
必ずと言っていいほど、子供が登場する。
だから「四季」といっても、
西洋画のような、自然を客観視する類のものではなく、
むしろ自然の中に入り、
画中の子供の視線で絵を眺める仕掛けになっている。
このような仕掛けは日本においては珍しいものではなく、
中国のいわゆる「文人画」にさかんに見られる手法で、
我が国の江戸時代の文人画や、広重の紀行版画などにも、
その影響が顕著に見られる。
だから谷内六郎の絵は文人画なんだ、
と言ってもだれにも相手にされないだろうけれど、
見るものをなんとなく懐かしい気持ちにさせてくれるのは、
われわれのDNAにしみ込んだ、
祖先たちの感性をくすぐるからかもしれない、
と思ったりもする。