「巨匠たちのラストコンサート」(中川 右介)

 

クラシック音楽界の巨匠(マエストロ)の、最後の演奏会についてのエピソードや、
著者なりの思うところを述べた本である。

著者いわく、最後のコンサートが明確に記録されている演奏家は案外少ないらしく、
この本で紹介されているのは、以下のとおり。

トスカニーニ、バーンスタイン、グールド、フルトヴェングラー、リパッティ、
カラヤン、カラス、カルロス・クライバー、ロストロポーヴィチ

思ったことは、これだけの錚々たる顔ぶれであっても、
最後のコンサートであることをきちんと自覚して、しかも満足のゆく形で終わらせるのは、
非常に稀なのだということ。

この本は、音楽的な内面を探るというよりも、
俗人的なエピソードの方を多く採り上げており、

そこがいわゆる「クラシック音楽ファン」には面白くないのかもしれないが、
でも、音楽的な部分は、各々が録音を耳にして感じればよいだけのことだし、

僕としては、巨匠たちもまた俗人であり、いかにして晩年を迎え過ごしたのかを知ることができたので、
そこそこ興味深く読むことができた。