コンピュータの生みの親でもある、
天才数学者、アラン・チューリングの半生を描いた作品。
チューリングといえば、リーマン予想の検証など、
数学・科学分野におけるさまざまな貢献が挙げられるけれども、
この映画でフォーカスされているのは、
第二次大戦中における、ナチスの暗号「エニグマ」の解読についてのエピソードと、
彼の同性愛者としての一面だ。
特に後者に関しては、科学界のタブー的な問題でもあったから、
それをここまで堂々と描いた本作品は、ある意味立派だと思う。
チューリングは、最後は青酸カリ付きの毒リンゴをかじって自殺してしまうのだけれども、
(アップル・コンピュータの社名とロゴの由来はここにあるとも言われている)
この映画では、単に「自殺した」と語られるだけなのだが、
ストーリーの途中で、チューリングが仲間たちにリンゴを配るシーンがあり、
事実を知っている自分としては、ドキッとさせられた印象深い場面だった。
制作者も、おそらくその効果を狙ったのだろう。
チューリングの少年期、戦中、そして戦後の3つの時代を、
絶妙に行き来しながら進められるストーリーには、
ドキュメンタリー、ミステリー、ヒューマンドラマといった要素が散りばめられいて、
想像以上に見応えがあった。
僕はたまたま、最近チューリングについて書かれた本を読んでいたのでラッキーだったが、
そうでない人は、wikipediaレベルでもよいので、
チューリングについての知識を頭に入れてから鑑賞すると、一層楽しめると思う。
チューリング役のベネディクト・カンバーバッチは、まさに適役で、
今やイギリスを代表する俳優になった彼の演技は、安定感抜群だ。
ヒロイン役は、キーラ・ナイトレイ。
前にも書いたけれど、加齢のせいか、いじったせいなのか、
やはり顔が変わった気がする。表情が不自然なんですよね。
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