「イケナイ宇宙学──間違いだらけの天文常識」(フィリップ・プレイト)

 

天文分野についての「間違った常識」を、
科学者の視点から丁寧に分析し、
正しい結論へと導くというのがこの本の主旨。

空はなぜ青いのか、
南半球では、流し台の水は逆に渦巻くのか、

といった身の回りのことから、

ハッブル宇宙望遠鏡についての勘違い、
ヴェリコフスキーの太陽系形成論

といった、ややマニアックな事柄まで、

天文好きな自分には、当たり前な内容がほとんどだったけれど、
自分の理解度を確認することもできて、楽しく読むことができた。

ヴェリコフスキーの太陽系形成論といえば、
最近、初期の太陽系において、木星が内惑星の軌道まで入り込んで、
「邪魔者」を一掃したあと、ふたたび現在の軌道まで戻っていったという説が、
科学論文として発表された。

木星から金星が飛び出して、太陽系を放浪したとするヴェリコフスキーの説と、
パッと見似ているように思われるかもしれないが、

なぜ一方が科学で、一方がオカルトだと言われるのかを考えれば、
科学とは何かについて理解できると思う。
(ただ、僕自身は上記の、初期太陽系における木星の振る舞いについては疑問だけれど)