「江戸の妖怪絵巻」(湯本 豪一)
よく絶滅危惧動物、という語を目にするけれど、
妖怪こそは絶滅してしまった動物のひとつだろう。

少なくとも、江戸時代までは存在していた。

別に感傷的な意味で言っているわけではなく、事実なのであって、
人々が「信じていた」のであれば、
それは存在していたのである。

しかし、富国強兵を掲げた明治の近代化の前では、
妖怪たちはあまりに無力だった。

街燈に照らし出された夜の街から、
元の闇へこっそりと逃げ帰るしかなかった。

この本は、まだ妖怪が生き生きと振舞っていた頃の話である。

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