「柿の種」(寺田寅彦)

「柿の種」(寺田寅彦)

柿の種
仕事に疲れて、何となく本屋に入ったときに、何となく手に取ったのがこの本。
物理学者でありながら、詩人・俳人でもある寺田寅彦のエッセイ。

夏目漱石の作品は、昔ほど関心はできないのだけれども、芥川をはじめ、百聞、森田草平、そしてこの寺田寅彦らを門下から輩出しているあたり、
人間関係には恵まれた人だったに違いない。

さて、この本の中の、関東大震災直後に書かれた一節に、「日本は地震国なのだから、もうちょっと地震のメカニズムだとか危険性を、小学校のうちから教えた方がよいのではないか」という内容がある。

そしてこの本のあとがきとして池内了が、「阪神大震災一周忌のこの日に、寺田寅彦のこの一節が胸に沁み渡った」みたいなことが書いてある。

そして僕がこれを読んだのが、今回の大震災の直後。
気味が悪いというか、奇妙な縁ではある。

あと、科学者らしいこんな一節もある。

「元素なんてものは番号がふられているのだから、敢えてマンガンだとかウランだとか、名前で呼ぶ必要なんてない。それでも化学者が名前で呼ぶのは、自分の子供であるかのような親しみがあるからなのだろう。だとしたら、源氏物語好きの学者が、『桐壺』『帚木』のように元素を名付けてもよいのではないか。」と。

こういう愛すべき教養人は、今はもういないのだろうか。

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