「巨大翼竜は飛べたのか スケールと行動の動物学」(佐藤 克文)
看板に偽りあり。タイトルに騙された。

翼竜の話が出てくるのは最後の10分の1ほど。
あらかじめ前書きにて、

「翼竜の話が出てくるのは最後の最後だけれども、
それまでの話は大事な前提となるので、
我慢して読んでいただきたい」

とあったけれども、それも本当か疑わしい。

なぜなら、翼竜についての論旨をまとめると下記になるのだが、

①翼長が10mを超す翼竜の体重が、
従来の説のとおり70kgだというのはおかしい。

②おそらく250kgほどはあったはずだ。

③そんなに重い翼竜が飛べたはずがない

①②の仮説を導き出すためであれば、
一冊のうちの10分の9を使うというのはあり得ない。

大型の鳥やコウモリの翼長と体重の相関関係から、
仮説を立てるのは容易なはずだ。

そして挙句の果ての結論が③。

既に絶滅した動物について、
飛べたか飛べないかを議論してもあまり意味がない。

翼竜の化石から想像するに、
飛んでいたことは間違いないはずなのだから、

大事な論点は、

「体重が250kgほどにもなるはずの翼竜が飛べたのはなぜなのか」

ということであり、
それについて論ずることこそが、科学なんだと思う。

だからこの本はピンボケしていると言わざるを得ない。

野外生物の行動を、最新機器を用いて記録しました、
というそれだけの話。

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