「流れ」(フィリップ・ボール)
「かたち」に続く、3部作の第2弾。

流体力学は難解だという先入観があったので、
食わず嫌いで通してきた。

でもこれを読んで、変わった。
レイノルズ数、レイリー数。流体力学とは、
自然の美しさを描写する一手段なのだ。

だた、扱うのは少々手ごわい。
乱流になればなるほど、「予測不可能」という、
近代科学がもっとも恐れる状況に、あっという間に陥る。

たとえば、いま部屋で熱いコーヒーを入れたとする。

不思議なロゴの入ったマグカップから浮かぶ「湯気」の動きを、
正確に予測する方程式は書けるのか。

答えはNOである。

コーヒーの温度、室温、空気抵抗、部屋の広さ、自分の体温・・・
ひとつひとつの要素は、既知の科学で表現できるが、

それらがパラメータとして参加することになると、
もうてんでバラバラ、手に負えない状態となる。

道路渋滞も同様である。
車の流れも、ある意味流体であって、
さまざまなパラメータに左右されるが、

物理法則よりもオソロシイ「道路交通法」によって、
動きがかなり限定される分、
コーヒーの煙よりは、マシなのかもしれない。

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