上野の美術展で観た美しい童女像と、
家の近所の骨董屋でのエピソード。

一見、何ら関わりのない2つの事象を、
寅彦は「切り離して考える事が困難」であるという。

その理由を、論理的に説明するのは難しいけれど、
美しい絵と美しい壺、
それらに触れたときの心の動きに、共通したものがあったのだろう。

最後は、このように締めくくられる。

「肉は肉、骨は骨に切り離されて、骨と肉の間に潜む滋味はもう味わわれなくなる」

寅彦らしい、ユニークな着眼点だと思う。

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