「ぼく自身あるいは困難な存在」(ジャン・コクトー)

「ぼく自身あるいは困難な存在」(ジャン・コクトー)

「ぼく自身あるいは困難な存在」(ジャン・コクトー)

ジャン・コクトーは、僕の中での「天才」の代名詞。

「~について」という短いエッセイを集めたこの本でも、
コクトーの天才ぶりは如何なく発揮されている。

一見、それぞれの内容は関連性がなく見えるのであるが、
読んでいくうちに、ひとつひとつが、とても微妙ながらも、
綿密な綾をなしているのが、わかってくる。

独特な言い回しで難解な部分も多いが、
時折、はっとさせられるようなフレーズに出会うことがある。

「線について」の中で、こう述べている。

・・・・・
線とは何か?それは生命だ。
一本の線は、その進路の各地点において生命をもっていなければならない。
・・・・・

線と言っても、それは絵画や彫刻のことだけではない。

音楽も文学もあれば、あるいは、
「線とは点の集合である」と定義する、
ユークリッド幾何学のことを思い出すかもしれない。

道路も線だ。家系図も線である。

などと考えているうちに、
既にコクトーのマジックに嵌められていことに気づく。

何度も読み返してみたい、味わい深い本である。

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