「月は誰が創ったか?」(クリストファー・ナイト/アラン・バトラー)

「月は誰が創ったか?」(クリストファー・ナイト/アラン・バトラー)

「月は誰が創ったか?」(クリストファー・ナイト/アラン・バトラー)
正統な科学の観点から見ても、
月というのは不思議な天体だと言われている。

例えば、

・親惑星(地球)の1/4もの直径をもっている。
・おそらく、中身は空洞である。
・位置や大きさが、地球の生命にとってちょうど良い具合になっている。

など。

この本の前半では、このような月の不思議について、
科学的な立場から「謙虚」に語る。

しかし、後半に入ると、
そのような謎をもつ天体は人工物に違いない、ということになり、

あろうことか最後には、
それはタイムマシンに乗った未来人が、
地球の知的生命体(ヒト)のために、
人工的に作り上げたものなのだ、と結論付ける。

途中まで読んだ僕は、おそらく、
「月は宇宙人が創ったのだ」とくるのかな、、と思っていたのだけれど、
まさか「未来人」が出てくるとは!!

科学的な結論が出せていない事柄に対して、
宇宙人や、ましてや未来人を持ち出すというのは、
滑稽を通り越して、卑怯であると、最近では思っている。

なぜなら、それらは立証できないのであり、かつ、
立証できないからといって間違えているとはいえない、
という「科学の弱点」を、逆手にとっているからである。

月は確かに謎が多い衛星である。

しかし、考えてみてほしい。
我々は、この太陽系以外の衛星など、
見たことなどないのである。

かつて太陽系外の惑星でも、我々の太陽系と同じように、
内側を小さな岩石惑星が周り、
外側に巨大なガス惑星が存在するのだろう、と思われていた。
我々の太陽系では、それが安定した形態だからだ。

ところが、太陽系外惑星が次々見つかるうちに、
その予想は大きく覆された。

あろうことか、木星のような巨大ガス惑星が、
親星(恒星)の周りを、
猛スピードで公転しているようなタイプも存在したのである。

つまり、我々の太陽系というのは、
決して「標準モデル」ではないということだ。

だから、月が変わった衛星だからといって、
それが宇宙レベルでの謎であるとは、
ただちには言い切れない。

他の惑星系では、
もっと不思議な衛星がゴロゴロしているかもしれないのだ。

であれば、少しでも科学に興味がある者がとるべき態度は、
考えられ得る「惑星―衛星」のモデルを挙げ、
その原因やそこに働く力学を探求することに想像力を使うべきであって、

それが宇宙人だの未来人だのと「妄想」することは、
もはや漫画の世界でしかない。

・・・・・とまぁ、真面目に批判をしてしまったが、
ちと大人げないかな。

「スターウォーズ」を観て、馬鹿げている!と声を荒げるようなもので、
SFだと思って読めば、そこそこ楽しめる読み物ではある。

ただ気になるのは、
あたかも科学的書物であるかのように偽装されていることで、
万が一読まれた方が、フィクションであることを見抜けずに、
ウソを信じ込むようなことがないことを、祈るばかりである。

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