「身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編」(養老 孟司)

「身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編」(養老 孟司)

「身体巡礼 ドイツ・オーストリア・チェコ編」(養老 孟司)

 

以前の仕事の関係で、養老先生の本はすべて読んでいたので、
今回、新作が出たということで買ってみた。

相変わらずの「養老節」というか、
シニカルな言い回しの中に、とてつもない真実があるというような、
それでいて文章は極めて平易、
他の人には真似できない、独特のリズムをもった文章である。

海外の墓地を巡り歩き、
解剖学者の視点から、生と死、心と身体について語り、

そこからさらには、文化論、宗教論、民族論といった分野にまで拡がる、
まさに養老ワールドな一冊だ。

養老先生の特徴として、大切なことであっても、長々と語ることはしない。
ボソッ、と一言いって、あとは自分で考えなさいよ、こういうスタンスである。

だから彼の文章から、どれだけのものを拾えるかは、
読む側の知識や経験によって大きく異なってくる。

他のいわゆる知識人と呼ばれる人たちとは、一線を画した視点を持っているので、
もうご高齢ではあるけれども、一冊でも多くの書物を残していただきたいと思っている。

墓場とはそもそも何なのか、
日本における墓と西洋における墓に、違いはあるのか、
墓とは一体、何のためにあるのか、

生きていながら墓について考えるというのも、おかしな話だが、
でもよく考えてみれば、死んでしまえば墓だろうが何だろうが(おそらくは)関係ないので、
結局、墓場というのは生きている側のためのものということになる。

あと、日本のような狭い国土で、人が死ぬたびに墓を作っていたら、
そのうち墓だらけになるのではないか、というおかしな心配も出てくる。

未来の日本では、住宅事情以上に、墓場問題の方が大きくなっていたりして。

この奇妙な「墓」という存在が、養老先生の目にとまらぬはずがない。

続編があるようなので、そちらも期待したい。

本・読書カテゴリの最新記事