「人狼城の恐怖 第二部フランス編」(二階堂 黎人)
独仏国境の、アルザス・ロレーヌ地方。

そのドイツ側にあるのが「銀の狼城」。
フランス側が「青の狼城」。

第二部は、「青の狼城」での猟奇殺人事件がテーマとなるが、
第一部と違い、ツアー客が城に行く前に、
「人狼」の正体が明らかにされる。

第一部と第二部は、
どちらを先に読んでもよいとされていて、

第一部⇒第二部と読んで、
あぁ、第一部の事件はそういうことなのね、と納得してもよいし、

逆に、第二部⇒第一部と読んで、
「人狼」とは何かを理解した上で第一部を楽しんでもよいが、

僕としては、順番通り第一部から読むことで、
後からドイツ側の事件を振り返れるという楽しみがある方をオススメしたい。

「人狼」とは、かつてナチスが作り上げた「星気体兵士」のことで、
次から次へと死体に憑依し、
憑依された死体の方は、まるで生きている人間のように振る舞うという。

つまり、二つの城で起きた連続殺人事件の謎は、
「人狼」に憑りつかれた死体が次の殺人を犯し、

その死体にまた「人狼」が憑依し、
そしてまた・・、という具合に事件が続いたものと考えられるが、

それにしても、そもそも殺人の動機だったり、
密室の謎だったり、
死体の一部がもぎ取られる理由だったり、

事件の核心部分は、第三部以降に持ち越しとなっている。

城内部での惨劇の様子は、第二部も第一部同様で、
閉塞感とか緊迫感が十分楽しめるスリリングな内容となっていて、

第一部・第二部の後は、
いよいよ名探偵二階堂蘭子が登場する第三部、
正月休みのうちに第三部までを一気に読み終えたい。