時田 昌瑞 著「辞書から消えたことわざ」(角川ソフィア文庫)

主に明治時代以前の文献には見られるが、
現在では、辞典にすら載っていない、
約200のことわざについて、

用例とともに、
それぞれの魅力について語った本。

例えば、
漱石の『愚見数則』にあるそうなのだが、

言う者は知らず、知る者は言わず

なんて、意味も明解だし、
覚えやすい対句だし、

現代で使われてもよかろうと思ったり、

浮世草子の『武道張合大鑑』が出典だという、

人間は四百四病の入れ物

なんてのは、
まさにこれからの「withコロナ時代」に、
関係がありそうだなと思ったり。

そのほかにも、

三つ叱って五つ褒め七つ教えて子は育つ

などは、育児のみならず、
会社の部下の教育にもそのまま当てはまりそうで、

何といっても数詞の語呂合わせと、
七五調のリズムの良さで、
今すぐにでも使いたい気にさせてくれる。

言うまでもなく、
ことわざというものは、
昔の人の知恵を凝縮したものであって、

現在使われているかどうかにかかわらず、
ひとつひとつが味わい深い。

今後、いま生き残ってることわざにおいても、
絶滅のペースは早まっていくのであろうが、

たとえ使わなくなったとしても、
ことわざを楽しめる心の余裕は失いたくないものだ。