司馬遷 著「史記6 列伝二」(ちくま学芸文庫)
「列伝一」は、
諸国による打倒・秦における、
策略的な内容が多かったのに対し、

「列伝二」は、
項羽と高祖も登場するし、
まさに秦の崩壊という、
中国古代史のクライマックスを、

李斯や蒙恬といった人物の視点で描いているのが、
まるで小説を読んでいる感覚で楽しめる。

司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を、
読んでみたくなった。

各話の最後には、
「太史公曰く~」という形で、
著者の司馬遷自身が、
感想を述べる部分があるのだけれど、

これが結構ドライというか、
現代の我々とは違う感覚なのが、
興味深い。

大体、列伝に描かれるような偉人は、
出世して頂点にまで上り詰めると、
ライバル達の讒言によって、
処刑されるというパターンが多いのだが、

我々の感覚では、
「そんな、ひどい・・・」となるところを
司馬遷は、「そうなるのも当然だ」と述べる。

それにしても、
古代中国の処刑というのはかなり残酷で、

例えば李斯なんかは、
あれほど功績のあった人物であるのに、
五刑を具えた腰斬の刑、

すなわち、まず鼻を切り、耳を切り、
舌を切り、足を切り、
次に鞭打ちを行い、最後に腰を切る、

という、想像するだけでもぞっとするような、
仕打ちにあっている。

まぁそんなところも含めて、
ドラマチックな要素が多い「列伝二」。

次が楽しみになる。