司馬遷 著「史記8 列伝四」(ちくま学芸文庫)
70編に及ぶ列伝をこれで読了した。

『史記』全体では、
70/130を読んだことになる。

この「列伝四」は、
「酷使列伝」「游俠列伝」「滑稽列伝」など、
最後に変わり種を持ってきたという感じだが、

それらひとつひとつが、
さらにオムニバス的な様相を呈しているので、
退屈しないというか、読み易い。

「酷使列伝」は、
冷酷な役人の所業を述べたものだが、

刑罰として、肢体を裂いたり、
ノコギリで項を切ったり、
槌で殴ったり、無闇に人を殺したり、

といったことについて、
著者が否定的な立場でないあたりは、
いかにも中国的といった感じがするし、

「滑稽列伝」は、
弁舌巧みな者たちの記録だが、

「酒きわまれば乱れ、楽しみきわまれば悲し」
という、酒飲みの哲学みたいなのがあるのが、
何ともおおらかだ。

そして何と言っても、ラストを飾る、
著者自身による「太史公自序」において、

この合計130篇、52万6500字からなる、
偉大なる歴史書を書くことになった経緯や、
意気込みが語られていて、感動的ですらある。

さて、「伝は転なり」というように、
「列伝」とは、歴史を側面から語ったものであり、

だから逆に、
そこには物語的な楽しさもあるのだが、
本来の歴史は、「本紀」で語られる。

なんとか2020年のうちに、
「列伝」は読破したので、

次は史記の残り、というか本体でもある、
「本紀」「書・表」「世家」に入るとするか。