浅田 秀樹 著「三体問題 天才たちを悩ませた400年の未解決問題」(ブルーバックス)
三人寄れば文殊の知恵、
という言葉がある一方で、

船頭多くして船山に登る、
というのもある。

要するに、
たとえば会議などにおいて、
参加者の数が多いことには、
メリットもデメリットもあるわけなのだが、

これが物体間に働く重力の話になると、
物体の数が増えれば増えるほど、
話は断然ややこしくなってくる。

「物体の数が増えれば増えるほど」
というよりも、

現状厳密に解を出せる(解がある)のは、
2物体まで、という表現が正しいかもしれない。

そもそも、物体の運動を考えるにあたり、
「解く」とはどういうことなのか、
そして、三体問題とは何なのか、

という話から始まり、

オイラーの「直線解」や、
ラグランジュの「正三角解」といった、
特殊条件下での解、

また、「十字解」や「8の字解」といった、
特殊解の紹介を経て、

一般相対性理論の効果を考慮した、
三体問題の検討へと、
進んでいくわけであるが、

結論としては、
やはり三体問題は「解けない」。

まぁ解けないということは、
最初から勿論知っていたわけで、

この本の価値としては、
一体何が問題で、なぜ解けないのか?
ということを、
考えさせてくれるきっかけになることだろうか。

ネタに困ったとき、
気分転換をしたいときは、
ブルーバックスに助けられる。