吉本 隆明 著「真贋」(講談社文庫)
これはエッセイかと思いきや、
「あとがき」によれば、

どうやら著者へのインタビューを、
編集者が文章にしたものらしい。

なるほど、
最初からインタビューだと分かっていれば、
読む側の心構えも違っていたのだが、

吉本隆明にしては、
文章に切れ味と深みがなく、

なんともかんとも消化不良、、、
という印象のまま、
気がついたら読み終わってしまった。

一応、テーマとしては、
「真贋」というタイトルのとおり、
物事を両面から(多面的に)眺める、

ということなのだが、
それにしても中身が浅すぎるな。

「人格は前思春期までの母親との関係性で決まる」
ということを、

必要以上に繰り返していたことが、
印象に残っていたぐらいで、

若い頃の僕を唸らせてくれた、
一流の論客としての吉本隆明は、
ここにはいなかった。