ジェレミー・デシルヴァ 著「直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足」(文藝春秋)
二足歩行をする動物はいるが、
「直立」二足歩行をするのは、
我々ヒトだけである。

それはなぜか、
について論じた本。

著者によるものではないが、
以下の説が紹介されていたのが、
実に印象的だった。

すなわち、
チンパンジーが四足歩行(ナックル・ウォーク)であるから、

我々はともすると、
四足歩行の祖先から、
二足歩行へと「進化」したと考えがちだが、

真相はその逆なのではないか、
という説だ。

つまり、
我々とチンパンジーの共通の祖先は、
元々「直立二足歩行」であり、

進化の枝分かれの途中で、
類人猿たちは、
棲息環境における二足歩行のデメリットを解消すべく、
四足歩行となり、

アウストラロピテクス等のホミニンは、
直立二足歩行のまま、
多くの属・種に分かれていったが、

生き残ったのは、
ホモ・サピエンスのみであった、
ということ。

直立二足歩行は、
速く走れないために、

肉食獣の恰好の餌になるし、
脚への負担も少なくないし、
デメリットが非常に大きいわけで、

だからこそ、
我々の仲間達の多くが、
滅びてしまった事実も、
納得がゆく。

では、なぜ直立二足歩行のうち、
ホモ属サピエンス種だけが、
生き延びたかといえば、

それはおそらく、
直立二足歩行に存在するメリット面を、
活かすことに成功したか、

いやそれはあくまでも結果であり、
単に偶然が重なったためかもしれず、

そこは本書でも、
明らかにされてはいない。