・本日7月7日は言うまでもなく、
七夕であって、

いわゆる五節句のうち、
なぜ七夕だけが、

天体のストーリーを持っているのかは、
よく分からない。

・特に新型コロナが流行ってからは、
夜に出歩くことも稀になったので、

あれが織女星、こちらが彦星、
などと夜空を見上げることもなくなり、

PCにインストール済みの、
お気に入りのプラネタリウムソフトである、
Stellariumを起動して調べると、

なるほど7月7日の23時には、
織女星(ベガ)がほぼ天頂に位置する。

けれど、それは新暦の7月7日のことであって、
旧暦ではまた違ってくる。

・天の川を挟んで対峙する、
織女星と彦星だが、

我が国では、
牽牛が河を渡って織女に逢いにゆく、
というストーリーになっているが、

中国ではどうやら逆で、
織女の方が牽牛に逢いにゆくらしい。

では、中間の韓国はというと、
これが驚くなかれ、

織女と牽牛がお互い河を渡り、
川中の中洲か何かで逢瀬をするという話を、
大学の授業で聴いたことがある。

真偽の程は分からない。

・あまりにも有名な芭蕉の句に、

荒海や 佐渡に横たふ 天の川

というのがあるが、

わずか十七文字でもって、
雄大なパノラマを描いたというのは、

成る程、関心するしかないわけだが、
ただこの句は、

あまりにも出来すぎているというか、
面白みがないというか、
作り物感が強いというか、

敢えていえば、
和歌的情緒が強い気がして、
俳句らしくないともいえる。

一方、小林一茶には、

うつくしや 障子の穴の 天の川

という句があり、
当然ながら、
上の芭蕉の句を意識しているわけだが、

障子の穴という、
世俗を代表する小さな穴から、
雄大な天の川を眺めるという対比が、

なんとも俳句らしい。

見上げたのでもない、
望遠鏡を覗いたのでもない、
「障子の穴」の天の川。