七夕について、とりとめのない話。

おりひめ星(ベガ・こと座)、ひこ星(アルタイル・わし座)とともに、
「夏の大三角」を形成するのが、
はくちょう座のα星、デネブ。

白鳥というと女性をイメージしがちだが、
ギリシア神話では、かの女好きの大神ゼウスが化けたものとされる。

となると、牽牛と織女の一年一度の逢瀬を、
嫉妬深く邪魔しょうとする白鳥(=ゼウス)という、
夏の大三角ならぬ、「夏の三角関係」に見えてしまうのは自分だけだろうか。

そして、真ん中を流れる天の川。

川をめぐっての三角関係といえば、
『源氏物語』の宇治十帖が思い浮かぶ。

優柔不断な薫と、強引な匂宮の間に挟まれ、苦悶する浮舟。
最後は宇治川に身を投げるが、命は助かる。

あるいは助からずに幕を閉じた方が物語としては美しいのかもしれないが、
そうはさせなかったところに、この物語の凄さというか深さがある。

死ぬのは人の常であるが、
生きられるうちは生きて償いをしなくてはならない。
そう語っているようだ。

西洋では、ほとんどの星座ひとつひとつに起源神話があり、
星空はさながら舞台のようにドラマに満ちている。

我が国の古代人は意外にも星にはあまり関心がなかったのか、
夜空をめぐるドラマとしては、
かぐや姫伝説とこの七夕ぐらいだろうか。

だからこそ、一年に一度ぐらい、
星についてあれこれ考えてみるのも、悪くない。

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