ambidextrous

という、見慣れない英単語に遭遇し、
意味を調べてみると、
「両利き」とのこと。

念の為、
オックスフォード英英辞典を引いてみると、

able to use the left hand or the right hand equally well

とある。

「and」じゃなくて「or」なのか?
というモヤモヤは残るものの、
まぁ、意味は分かった。

ただ、
こんなイカつい単語を本当に使うんか?と思い、
試しにGoogle翻訳で、

「彼は両利きです」

を英訳してみたところ、

「He is ambidextrous.」

と返ってきた。
うーん、そうなのか。

でも、

「左利き」は「left handed」、
「右利き」は「right handed」、

ということから連想するに、

口語では、

「両利き」を「both handed」、

って言いそうですけどね。

ambidextrous

という語感からして、
いかにも学術用語な気がしていて、

おそらく両利きというのは、
医学的な研究対象だったんだろうと思う。

ちなみに、野球では左投げ投手のことを、
「サウスポー」と呼ぶが、

なぜ「左」が「南(south)」なのかよく分からず、
語源不明、というのが公式見解らしい。

アメリカ南部出身の選手に、
左利きが多かったから、

という説が一番フツーっぽいが、
どうなんだろう。

話は変わるが、
『太平記』なんかを読んでいると、

頻りに、

「馬手」「弓手」

という語に遭遇する。

昔の武士は、馬上で弓を使っていたわけで、
その際、手綱を操るのは右手だから、
右手は「馬手(めて)」。

弓を持つのは左手なので、
左手を「弓手(ゆんで)」と呼んだ。

これが江戸時代の大工の世界になると、

右手は槌(つち)を持つから「槌手」、
左手はノミを持つから「ノミ手」、

となるわけだが、

この「ノミ手」から「呑み手」を連想し、

そこから酒飲みのことを、
「呑み手」→「ノミ手」→「左利き」
と呼ぶようになった。

昔の武士は、
左利きでも右利きに矯正されたそうだが、
両利きの人はどうだったんだろう。

それこそ宮本武蔵ばりの、
二刀流には好都合だったかもしれないが、

ambidextrous

という、イカつい呼び方をしたくなるのも、
なんとなく分かる。