小説

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「斜め屋敷の犯罪」(島田 荘司)

舞台となる風変わりな館と、 謎の人形。 この設定は、 『黒死館』へのオマージュと考えていいのかな。 あそこまで衒学的でも、 難解な文章でもないし、 (いや、むしろライトすぎる) 一方で、大胆なトリックは、 なかなか読み応えがあって、 殺人の動機とか、 一部の仕掛けにやや不自然な部分はあるものの、 総じて楽しむことができた。 特に2番目の殺人、 このトリックがまさに作品の肝というか、 むしろ「すべて […]

「第八の探偵」(アレックス・パヴェージ)

いわゆる「作中作」モノのミステリー。 登場人物は編集者と作家の二人で、 その作家の書いた、 七編からなるミステリー短編集について、 編集者がインタビューする形式で、 物語は進む。 インタビューとはいいながら、 編集者が作家の前で、 各短編を朗読するという儀式があるため、 我々読者も、 当然すべての短編を読むことになる。 この小説の特徴は、 推理小説に数学的定義を与えたことで、 具体的には、 探偵・ […]

「戦場のコックたち」(深緑 野分)

第二次大戦中、 コック兵として従軍したアメリカ人の主人公が、 ノルマンディー上陸作戦から、 ドイツの降伏までの数年間、 戦場で生と死や友情など、 様々な経験を通じて、 成長してゆく物語。 2つの点で騙された。 (決して悪い意味ではなく) その1。 この本が創元推理文庫であることと、 様々なミステリー賞を獲っていることから、 本格的なミステリーだと思っていた。 確かに戦場の生活で、 いくつかの不思議 […]

「文字渦」(円城 塔)

文字、特に漢字の、 歴史、意義、成り立ち、魅力、魔力…etc. そういったあれこれの性質をテーマにした、 短編小説集。 おそらく中島敦の『文字禍』に、 インスパイアされたのだろうが、 はっきりいってこちらの『文字渦』は、 小説としてつまらない。 どちらかといえば駄作の部類だと思うし、 読み切るのは苦行以外の何モノでもなかった。 要は全編、「知識のひけらかし」で、 ストーリーや深みがまるでない。 こ […]

「蒼海館の殺人」(阿津川 辰海)

作者は20代で、主人公は高校生、 ということで、 最初こそは、 「おっさんには厳しいかな。。。」 と不安だったが、 読み進めるうちに、 逆の意味で裏切られた。 これは、かなり上出来のミステリー。 名家の一族が集まった屋敷で、 殺人事件が起こる、 という、 それこそお決まりのパターンなのだが、 とにかくトリックがすごい。 密室とか、小道具とか、 物理的な仕掛けはほぼ皆無なのだけれど、 真犯人による、 […]

「ゼロ時間へ」(アガサ・クリスティー)

原題は「Towards Zero」で、 この「Zero」を「ゼロ時間」と訳すことには、 やや抵抗がないわけではないが、 まずはこの「ゼロ時間」とは何か、 物語の終盤で登場人物により語られた言葉を、 そのまま引用しよう。 殺人事件のニュースを読んだり、 あるいは殺人を扱った小説を読むとき、 読者はふつう殺人事件が起きたところから出発します。 ですが、それはまちがいです。 殺人は事件が起こるはるか以前 […]

「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティー)

孤島に集められた10人の男女が、 何者かに一人ずつ殺されてゆく・・・ という、 現代のミステリーで定番となった設定の、 まさに原点ともいえる作品で、 少年時代に読んで、 とにかく、怖い、 という印象だけが残っていたが、 ディテールはすっかり忘れていたので、 懐かしさを感じながら読んでみた。 童謡の歌詞どおりに、 一人ずつ消されてゆくというストーリーは、 謎解きというよりも、 確かにスリラー要素の方 […]

「名探偵が多すぎる」(西村 京太郎)

鉄道ミステリーで有名な作者だが、 これは別府へ向かう客船が舞台。 しかも、 明智小五郎、エラリー・クイーン、 エルキュール・ポアロ、ジュール・メグレ、 という、 (フィクション界での)名探偵4人に、 アルセーヌ・ルパン、怪人二十面相といった、 こちらも(フィクション界での)名怪盗がタッグを組んで、 知恵比べを挑む、というストーリー。 密室トリックが2つもあるという点に惹かれて、 この作品を読んだわ […]

「十角館の殺人」(綾辻 行人)

ミステリーは好きなのだが、 あまり現代の作品には親しみがなく、 評判が良さそうだったので、 とりあえずこれを読んでみた。 無人島に渡った若者グループが、 十角形をした「十角館」という建物で、 何者かにひとりずつ殺されてゆく、 という、よくあるタイプのお話。 一日半で読み終えたので、 なかなか楽しめるには違いないのだけれど、 推理小説として優れているかと言われると、 ちと疑問。 そもそも、トリックが […]

「猿丸幻視行」(井沢 元彦)

古典和歌を題材としたミステリーということで、 自分としては読まないわけにはいかなかった。 主人公は、製薬会社の新薬の実験により、 1900年代初頭の、 あの折口信夫の意識と同化することになる。 (この設定必要?) 以降は、折口を探偵役とし、 柿本人麻呂、猿丸太夫、 そしていろは歌を繋ぐ暗号を解読する、 という物語が展開される。 うーん、期待には遠く及ばず、 ズバリ、「中高生向け」というレベルかなぁ […]

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