小説

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「文字渦」(円城 塔)

文字、特に漢字の、 歴史、意義、成り立ち、魅力、魔力…etc. そういったあれこれの性質をテーマにした、 短編小説集。 おそらく中島敦の『文字禍』に、 インスパイアされたのだろうが、 はっきりいってこちらの『文字渦』は、 小説としてつまらない。 どちらかといえば駄作の部類だと思うし、 読み切るのは苦行以外の何モノでもなかった。 要は全編、「知識のひけらかし」で、 ストーリーや深みがまるでない。 こ […]

「蒼海館の殺人」(阿津川 辰海)

作者は20代で、主人公は高校生、 ということで、 最初こそは、 「おっさんには厳しいかな。。。」 と不安だったが、 読み進めるうちに、 逆の意味で裏切られた。 これは、かなり上出来のミステリー。 名家の一族が集まった屋敷で、 殺人事件が起こる、 という、 それこそお決まりのパターンなのだが、 とにかくトリックがすごい。 密室とか、小道具とか、 物理的な仕掛けはほぼ皆無なのだけれど、 真犯人による、 […]

「ゼロ時間へ」(アガサ・クリスティー)

原題は「Towards Zero」で、 この「Zero」を「ゼロ時間」と訳すことには、 やや抵抗がないわけではないが、 まずはこの「ゼロ時間」とは何か、 物語の終盤で登場人物により語られた言葉を、 そのまま引用しよう。 殺人事件のニュースを読んだり、 あるいは殺人を扱った小説を読むとき、 読者はふつう殺人事件が起きたところから出発します。 ですが、それはまちがいです。 殺人は事件が起こるはるか以前 […]

「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティー)

孤島に集められた10人の男女が、 何者かに一人ずつ殺されてゆく・・・ という、 現代のミステリーで定番となった設定の、 まさに原点ともいえる作品で、 少年時代に読んで、 とにかく、怖い、 という印象だけが残っていたが、 ディテールはすっかり忘れていたので、 懐かしさを感じながら読んでみた。 童謡の歌詞どおりに、 一人ずつ消されてゆくというストーリーは、 謎解きというよりも、 確かにスリラー要素の方 […]

「名探偵が多すぎる」(西村 京太郎)

鉄道ミステリーで有名な作者だが、 これは別府へ向かう客船が舞台。 しかも、 明智小五郎、エラリー・クイーン、 エルキュール・ポアロ、ジュール・メグレ、 という、 (フィクション界での)名探偵4人に、 アルセーヌ・ルパン、怪人二十面相といった、 こちらも(フィクション界での)名怪盗がタッグを組んで、 知恵比べを挑む、というストーリー。 密室トリックが2つもあるという点に惹かれて、 この作品を読んだわ […]

「十角館の殺人」(綾辻 行人)

ミステリーは好きなのだが、 あまり現代の作品には親しみがなく、 評判が良さそうだったので、 とりあえずこれを読んでみた。 無人島に渡った若者グループが、 十角形をした「十角館」という建物で、 何者かにひとりずつ殺されてゆく、 という、よくあるタイプのお話。 一日半で読み終えたので、 なかなか楽しめるには違いないのだけれど、 推理小説として優れているかと言われると、 ちと疑問。 そもそも、トリックが […]

「猿丸幻視行」(井沢 元彦)

古典和歌を題材としたミステリーということで、 自分としては読まないわけにはいかなかった。 主人公は、製薬会社の新薬の実験により、 1900年代初頭の、 あの折口信夫の意識と同化することになる。 (この設定必要?) 以降は、折口を探偵役とし、 柿本人麻呂、猿丸太夫、 そしていろは歌を繋ぐ暗号を解読する、 という物語が展開される。 うーん、期待には遠く及ばず、 ズバリ、「中高生向け」というレベルかなぁ […]

「ねじれた家」(アガサ・クリスティー)

この作品の映画があるのを知り、 観る前にまずは原作を読んでおこうと。 大家族が住むお屋敷で、 資産家の老人が殺害される、 というお決まりの設定ではあるが、 家族それぞれに動機があったり、 アリバイがなかったりする中で、 「犯人当て」の醍醐味を味わうことができる。 特に残り10%近く、犯人が逮捕され、 無事解決と思っていたところで、 第二の殺人が起こり、 ラストに向けて目まぐるしく展開していくあたり […]

「検察側の証人」(アガサ・クリスティー)

なんとなくミステリーが読みたくなり。 アガサ・クリスティーは、 少年時代に随分読んだ気がするのだが、 この作品は知らなかったので、 Kindleでポチってみたところ、 元々は短編小説であるらしく、 それを脚本化したのが本作とのこと。 脚本は読み慣れないのと、 どうせなら小説版がよかったなー、 と思いながら読み進めたのだが、 逆に脚本版の方が、 無駄な説明がないというか、 すべての描写を、 基本的に […]

「光と風と夢」(中島 敦)

漢籍や歴史の登場人物を主人公としたうえで、 彼らに「近代的」ともいえる自我を持たせ、 人生や芸術について葛藤する姿を描く、 というのが、 中島敦の得意な創作パターンであるが、 この「光と風と夢」は、 「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」の作者として有名な英国の作家、 スティーブンソンによるサモア滞在中の日記という形式をとっている。 はっきり言って、 ストーリーらしきものは、ほぼない。 描かれているの […]

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