小説

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「邪悪の家」(アガサ・クリスティー)

原題は「Peril at End House」だから、 「邪悪の家」という邦題は、 原題のニュアンスとも、 そしてもちろん作品の内容とも、 マッチしていない。 その作品の内容はと言うと、 とある家に暮らす若くて美しい女性が、 何者かに命を狙われていることを知った名探偵ポアロが、 その女性を巡る人間関係を紐解きながら、 悪戦苦闘の末、意外な真相を突き止める、 というもの。 読者には、 ポアロが整理し […]

「改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木」(島田 荘司)

この作家の作品を読むのは3作目。 『斜め屋敷の犯罪』の大胆なトリックに惹かれ、 次に、評判高い『占星術殺人事件』を読んだものの、 オカルト色が強すぎて、 謎解き小説としてはイマイチだった。 そして、この作品。 結果としては、 かなり満足のゆく作品だった。 まずはその猟奇性。 ある意味『占星術殺人事件』以上に、 血腥く、残酷な話ではあるのだが、 怪談的・冒険譚的要素がプラスされているせいか、 ワクワ […]

「ABC殺人事件」(アガサ・クリスティー)

地名の頭文字が、 A、B、C…で始まる土地で、 名前の頭文字が、 A、B、C…で始まる人物が、 次々に殺されてゆく。 殺人現場に残されるのは、 ABC時刻表、 そして常に現場にいた容疑者の、 名前もまた、ABC…。 アルファベットにまつわる連続殺人、 というプロットは、 さすがクリスティという感じだが、 うーーん、 殺人の動機もイマイチだし、 殺しの手段もほとんど描かれていないし、 ディテールの詰 […]

「異常論文」(樋口 恭介 編)

「異常論文」というジャンルを、 この本で初めて知ったわけだが、 シンプルに言ってしまえば、 「論文の形式で書かれた小説」 ということになる。 ほぼ完全な論文形式の作品もあるが、 テーマはフィクションなわけで、 そういう意味では、 広い意味での「SF」となるわけだが、 ただ、とても論文には見えない作品も、 多々混じっており、 僕的に「異常論文」を定義するならば、 ストーリーが存在せず、 作者が好き勝 […]

「占星術殺人事件」(島田 荘司)

この作家の作品を読むのは2作目となるが、 これがデビュー作にして代表作(?)だという。 感想を端的に述べるならば、 「力作ではあるが、傑作ではない」 という感じか。 とある画家と、 その6人の娘が惨殺される、という、 かなり猟奇的なテーマなのだけれども、 正直、犯人がすぐに分かってしまったというのが、 僕にとってのマイナスポイントだったのかもしれないが、 まぁ、トリックにしても、 世間で言われてい […]

「終着駅(ターミナル)殺人事件」(西村 京太郎)

ほんの2、3年前から、 たまにミステリーを読み出すようになり、 当然、西村京太郎の名前も知っていて、 「名探偵が多すぎる」も、 読んだのだけれども、 やはりこの作家といえば、 鉄道モノ、 自分も鉄道の旅とか時刻表とか、 子供の頃から好きではあったので、 さて、どれから読もうかと悩んだ末、 調べてみて評価の高かった、 この「終着駅(ターミナル)殺人事件」を、 読んでみることにした。 上野駅の、 都内 […]

「斜め屋敷の犯罪」(島田 荘司)

舞台となる風変わりな館と、 謎の人形。 この設定は、 『黒死館』へのオマージュと考えていいのかな。 あそこまで衒学的でも、 難解な文章でもないし、 (いや、むしろライトすぎる) 一方で、大胆なトリックは、 なかなか読み応えがあって、 殺人の動機とか、 一部の仕掛けにやや不自然な部分はあるものの、 総じて楽しむことができた。 特に2番目の殺人、 このトリックがまさに作品の肝というか、 むしろ「すべて […]

「第八の探偵」(アレックス・パヴェージ)

いわゆる「作中作」モノのミステリー。 登場人物は編集者と作家の二人で、 その作家の書いた、 七編からなるミステリー短編集について、 編集者がインタビューする形式で、 物語は進む。 インタビューとはいいながら、 編集者が作家の前で、 各短編を朗読するという儀式があるため、 我々読者も、 当然すべての短編を読むことになる。 この小説の特徴は、 推理小説に数学的定義を与えたことで、 具体的には、 探偵・ […]

「戦場のコックたち」(深緑 野分)

第二次大戦中、 コック兵として従軍したアメリカ人の主人公が、 ノルマンディー上陸作戦から、 ドイツの降伏までの数年間、 戦場で生と死や友情など、 様々な経験を通じて、 成長してゆく物語。 2つの点で騙された。 (決して悪い意味ではなく) その1。 この本が創元推理文庫であることと、 様々なミステリー賞を獲っていることから、 本格的なミステリーだと思っていた。 確かに戦場の生活で、 いくつかの不思議 […]

「文字渦」(円城 塔)

文字、特に漢字の、 歴史、意義、成り立ち、魅力、魔力…etc. そういったあれこれの性質をテーマにした、 短編小説集。 おそらく中島敦の『文字禍』に、 インスパイアされたのだろうが、 はっきりいってこちらの『文字渦』は、 小説としてつまらない。 どちらかといえば駄作の部類だと思うし、 読み切るのは苦行以外の何モノでもなかった。 要は全編、「知識のひけらかし」で、 ストーリーや深みがまるでない。 こ […]

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