サイモン・ニューカムは、アメリカの天文学者で、
1875年にハーバード大学天文台の所長に就任しているように、
正統派の科学者である。

そのニューカムによるSF小説が、この「暗黒星」で、
黒岩涙香による翻訳で、読んでみた。

舞台は数千年後の地球。
あらゆる科学は発展し尽くし、世界もすでにひとつとなっている、
という設定が、妙にリアルである。

そんな中、「暗黒星」という、自らでは輝かない天体が発見される。
軌道を計算したところ、このままでは太陽と衝突するらしい。

太陽と暗黒星の衝突により、地球は火炎地獄となる。

衝突までの時間と、衝突後の凄惨な描写が、この小説の肝といっていい。
流石、一流の科学者の筆にかかると、描写は悉くリアルである。

一年ほど前に、ウィレム・デフォー主演の「4:44 地球最期の日という映画を観たが、
あの映画はおそらくこの小説を下敷きにしていたのではないだろうか。

映画の方は、まさに最後の瞬間までの人々の行動を追ったものだったが、
この小説は、地球がまさに滅びゆく状況を、淡々と描いているのが凄い。怖い。

地球滅亡をあらかじめ予想して、一部の科学者集団は地下で生き延びる。

地上の熱も冷めたと思われた頃、彼らは意を決して地上へと向かうわけだが、
そこで彼らが見たものは・・・・。

続きはCMのあと!