本・読書

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「美術の力 表現の原点を辿る」(宮下 規久朗)

  ありきたりの作品や美術史の解説ではなく、 作品に込められた思いや背景、 そして観る側はそれをどのように受け止めるべきか、 この本を読みながら、 東大の3年目か4年目に受講した、 木下直之先生の美術史の講義を思い出していたのだが、 偶然か必然か、 本書の著者も木下先生にお世話になったという話が載せられており、 もう20年も前になるけれども、 課外授業で浅草寺の絵馬堂を見学した強烈な思い […]

「擬 MODOKI: 「世」あるいは別様の可能性」(松岡 正剛)

  久々に「セイゴオ節」を堪能できた、という感じだ。 「ほんと」と「つもり」、「あちら」と「こちら」、 「ちぐ」と「はぐ」、「あべ」と「こべ」、 呼び方は多々あるけれども、要するに、 一見矛盾と思えるダブルスタンダードを受け容れるべきだ、 なぜならばすべては「擬(もどき)」だからだ、 というエッセイ。 いつものように、歴史・文学・科学・芸術などなど、 幅広いジャンルの知見を縦横無尽に駆使 […]

「阿Q正伝・狂人日記 他十二篇」(魯 迅)

  いわゆる『吶喊』と呼ばれる、魯迅の短編集。 中国近代文学を代表する作家ではあるが、 教科書に載っているイメージが強く、 そういう純文学的なものはめっきり読まなくなっていた。 ただ最近、「食人」について調べる中で、 『狂人日記』が食人をテーマにしているということを知り、 急に読みたくなったというわけ。 基本的には、古臭いというか、説教臭いというか、 お世辞にも面白いとは言えないものが多 […]

「ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学」(ジョン・パウエル)

  『響きの科学』で、 すっかりその面白さに魅了されてしまった、 ジョン・パウエルの最新作。 今回も前作同様、 音楽を科学することの楽しさと、 著者の軽妙な語り口とで、 一気に読めてしまうオススメの出来映えとなっている。 音楽をやっている人は分かると思うけれども、 時折言葉で説明しずらい、 非常に微妙で繊細な演奏上の問題に直面することがよくある。 それを「感性」とか「表現力」といった曖昧 […]

「感染症の世界史」(石 弘之)

  我々は、目に見える生物ですら全ては知らないのに、 菌やウィルスになれば、なおさらである。 地球は広い。 生物学や進化学の視点でみれば、 菌やウィルスの性質と言うのはとても興味深いのであるが、 厄介なことに、それらは我々の天敵となるものも多い。 特にウィルスについてみれば、 精密機械さながらに我々の細胞や遺伝子を狙い撃ちし、 時には脳までもコントロール、 しかも変異が早いため、ワクチン […]

「世界を変えた6つの『気晴らし』」(スティーブン・ジョンソン)

    ホイジンガの「文化は遊びとして発生し、展開してきた」という言葉はあまりにも有名だが、 その具体的事例をピックアップし、 それらがどのようにして、本来の目的とは異なる、 社会的・政治的影響を及ぼすことになったのかを、 つぶさに検証した本である。 個人的に印象深いのは「胡椒」で、 世界史を勉強した人なら分かると思うけれども、 なぜヨーロッパ人があそこまで血眼になって胡椒を求 […]

「天文の世界史」(廣瀬 匠)

  星や宇宙に興味を持った人が、 教科書的に、まず最初に手にするにはちょうどよい本。 なので、内容的には悪く言えばありきたりで、 特に目新しいことはない。 タイトルに「世界史」と入っているわけで、 歴史を語るとなると、紀伝体なのか編年体なのかとか、 とにかく「歴史をどう語るのか」という形式が気になってしまう。 それをこの本では、 地球・太陽、惑星、恒星、銀河・・と章を分けることで、 内容 […]

「中国名言集 一日一言」(井波 律子)

  十代の頃から古文・漢文が好きで、 大学もその道に進んだ。 好きなのは今も変わらないが、 何に惹かれるのかを考えてみると、 ひとつには音律の美しさ。 現代文にはない、韻文的な魅力がある。 でも何よりも大きいのは、その内容の深さだろう。 どちらが良いとか悪いとかではなく、 あきらかに古代人は現代人よりも、人生について考察していた。 現代ならばググれば一瞬で済むことを、 昔の人は何日も何年 […]

「この宇宙の片隅に」(ショーン・キャロル)

  おなじみ青土社×松浦俊輔訳の物理学の本。 「適宜自然主義」と「コア理論」を両輪に話を進めていくわけだけど、 宇宙の始まりや、進化論、宗教、哲学、最後は倫理学の問題にまで発展し、 まるで現代までの知の蓄積を全て網羅したかのような、 重厚かつ壮大な著作だ。 人智からかけ離れた「物理学の法則」があって、 それを人がどう捉え、どう解釈するのか。 世界の、いや宇宙の原理はまさにそこであって、 […]

「科学が解いた!? 世界の謎と不思議の事件ファイル」(北山 哲)

たまにこういう、junkyな本が読みたくなる。 新刊なので、目新しいネタがあるかと思ったけれど、 取り上げられているラインナップは、 昔ながらのというか、オカルト界の常連たち。 稀に最近の研究(?)結果が挿し込まれている程度で、 内容的にも、予想通りで特筆すべきはなし。 ただなんだろう、 ふと子供の頃のお菓子とかを食べたくなるのと一緒で、 ついつい覗いてみたくなってしまうジャンルでもある。

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