2010年4月

グスタフ・マーラー『ピアノ四重奏曲』

マーラーと言えば、やはりシンフォニーが有名だが、 「ピアノ協奏曲」(第1楽章のみ現存)があるなんて、 恥ずかしながら知らなかった。 その存在を知ったのは、 映画「シャッター・アイランド」を観てのこと。 精神科医の邸を訪れたディカプリオ扮する主人公一行。 その場面でレコードで流れていて、 その後も頻繁に使われるのが、この曲だ。 主人公の相方が、 「これはブラームス?」と言うと、 主人公がすかさず、 […]

映画「シャッターアイランド」

スコセッシ監督のことは、今更語るほどのことはないのだけれども、 どうやら相当、ディカプリオ贔屓らしい。 沈没船と共に沈んだまま、 役者として浮かび上がることなく苦悶していた彼を、 「ギャング・オブ・ニューヨーク」で抜擢して以来、 「ディパーテッド」に続き、 3作目のレオ様(死語)起用である。 「ディパーテッド」が強烈に面白かったので、 再度、スコセッシ×ディカプリオならば、見ないわけにはいかない。 […]

「普通のデザイン―日常に宿る美のかたち」(内田 繁)

すなわちハードとしての空間(=ウツ)がまずあり、 それ自身が形を変えたり(=ウツロヒ)、 中身としてのソフトが詰まることによって、 具現化(=ウツツ)するという、 日本文化について語る上では欠かせない事柄の再確認から出発し、 だからこそ現代のデザインはこうあるべきだ、と論を進ませる。 良い喩えではないかもしれないが、 久々に大学で授業を受けたような、 なんか襟を正して接しなければならない、 という […]

「デザインのへそ―デザインの基礎体力を上げる50の仕事術」(矢野 りん)

面白い本はどこに転がっているか分からない。 だから本屋通いはやめられない。 この本も最初に手にとったときは、ポップすぎるイラストのために、 うっ、、と思ってしまったものだが、 そのイラストやライトな語り口とは裏腹に、内容はかなり濃い。 つまり、著者側の作戦にまんまとハマってしまった形だけれども、 それはそれでキモチイイのも、本を読む楽しみの1つでもある。 一言で「デザイン」といっても、 そこにはプ […]

「マネとモダン・パリ展」(@三菱一号館美術館)

ゲームやパソコンに限らず、 芸術においても「ハードとソフトの問題」というのは、 しつこく付き纏う。 この際、「三菱一号館美術館」というセンスの欠片もないネーミングには、 百歩譲って目を瞑るとしよう。 しかしその「ハードとしての美術館」のヒドさと言ったら、 堪らない。 チケットを買って、 いきなり狭いエレベータでアッパーフロアに移動させられ、 移動したらしたで、狭い通路と人ゴミがそこには待っている。 […]

「怪しい科学の見抜きかた」(ロバート・アーリック)

「ゲイは遺伝か?」 「ニセ薬で病気は治せるか?」 といった、 科学というよりも迷信に近いテーマを8つ挙げて、 先入観なしに、著者曰く「公平な視点で」 その真偽のほどを検証してみようという内容。 正直、あまりどうでもよいテーマも多かったのだけれども、 第6章「地球温暖化は本当に心配すべきなのか」における、 「地球が温暖化するのが仮に事実だとしても、 温暖化によるメリットはないのか? あるとすれば、そ […]

Erykah Badu『NEW AMERYKAH Part Two』

僕が20代前半の頃、 「エリカ様」といえば、このエリカ・バドゥ。 思えばローリン・ヒルとか、 “本格的”女性R&Bが盛り上がりを見せ始めていた時期で、 そんな中でも、エリカ・バドゥはひと際個性的だった。 まぁひと言でいえば、シブい、のである。 いわゆるイマドキのR&Bではなく、 もっとtrivalというか、funkなというか、 あの独特の声で繰り広げられるの […]

「生命40億年全史」(リチャード・フィーティ)

明日は5時前に起きねばなので、簡潔に。 僕が偶々この分野に興味があるだけなのかもしれないが、 近頃、生命の進化の歴史に関する書物があまりに多い。 なかには「トンデモ理論」を繰り広げる本も多い中で、 この本は流石、科学の視点に立ち、 かつ一般的な興味を惹くことも忘れず、 なんともバランスの良い(心憎い)著作である。 ただ、進化学というのは、余程の発見がない限りは、 得てして、型通りの説明に陥りやすい […]

「文鳥」(夏目 漱石)

漱石の作品で何が一番好きですか? なんて質問をイマドキしてくる人はいないだろうけれども、 万が一そう聞かれたら、僕は「文鳥」と答える。 小説というよりも、 随筆(エッセイ)と呼んだ方がよいのかもしれない。 特に何のあらすじがあるわけでもなく、 漱石が鈴木三重吉から文鳥をもらって、 それを飼って、その文鳥が死ぬまでの話である。 これはあくまでも僕の主観だが、夏目漱石という人は、 教科書流に言うところ […]

芸術とは何かについての実験的アプローチ

「アキレスと亀」「競技場」などで有名な「ゼノンのパラドックス」の1つに、 「飛んでる矢は(実は)止まっている」というのがある。 その知名度とは裏腹に、数学的には厄介な問題を含んでいるのだけれども、 「動的なものに(仮に)絶対静止を与える」という見方をしたという意味で、 このパラドックスの示唆するところは、実に多い。 芸術はどこから派生したか、 というテーマについて端的に述べることはとてもできないけ […]