サド、ゴヤ、モーツァルト
1789年7月14日―、つまりフランス革命当日に、
3人の芸術家が何をしていたか、にスポットを当てた小説である。

小説としては、お世辞にもうまいとはいえない。
けれども、この強烈な個性を放つ3人の芸術家が、
実は全く同時代の人間だったということを知らせてくれるだけでも、
この本の価値はある。

革命の当地フランスで投獄された小説家、

人生の後半に降りかかる不幸を予測だにせず、
スペイン宮廷画家に上り詰めた異色の画家、

ウィーンを中心に活動し、
この年に「フィガロの結婚」を完成させた天才作曲家。

澁澤龍彦訳の「ジュスティーヌ」を読んだり、
モーツァルトを日ごろから聴いていたりしたので、
10代のころに一度この本を買った記憶がある。

そのときは全然面白さが分からず古本屋に売ってしまったと思うが、
数年前にあらためて購入してみた。

僕が成長していないせいか、
相変わらず小説としての面白味はゼロだったけれど、
まぁ、それはそれでいい。

僕としては自分の青春を買い戻したような気がした。

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