20代の頃僕がハマっていたのは、
ハウス、HipHop、R&Bといった、
いわゆるブラックミュージックというやつで、
ただ、今あらためて聞きたいアルバムがあるかと言われると、
正直ほとんどない。
その中でも、D’Angeloの「Voodoo」だけは別格で、
もし明日地球が滅びると言われれば(陳腐なたとえだけれども)、
最後にもう1回聞いておきたいと思うに違いない、
これは奇跡の一枚である。
深いビート、極限までシンプルにしたトラック、
どこから聞いても無駄がない。・・・
そう、「無駄がない」という表現がまさにぴったりで、
例えばおそらく何百通りもカヴァーされているだろう「feel like makin’ love」を聞いてみても、
あぁこれがオリジナルなのかも、、と思えるぐらい、
完ペキに徹底した世界を築き上げている。
アルバムというのは、
中にいくつか良い曲があればイイ、というものでもなく、
全体としての完成度が要求されるもので、
一枚を「通し」でずーっと聞いていたいと思えるものは、
あまりない。
このアルバムが出たのは2000年。
D’Angeloにとってはまだ2枚目のアルバムだったのだけれども、
それ以来10年間もアルバムを出していないというのは、
やはりこの「Voodoo」の完成度は超えられないと、
自ら悟っているせいだろうか。
次のアルバムを出して欲しい気もするし、
出して欲しくない気もする。
果たしてどのような形で、
再度音楽ビジネスの前面に復帰するのか、
僕はものすごく楽しみにしている。