2011年6月

1/2ページ

「異界を旅する能 ワキという存在」(安田 登)

能、特に夢幻能というのは、 立体的構造が顕著な芸能である。 大抵は旅人である僧侶などが、 日常とは異なる場所で、異界から訪れた霊と出会う・・・・ そのような空間的・時間的な立体感はもとより、 その謡や物語に詰め込まれた古代和歌をベースにした文化的立体感、 という意味もある。 冷静に考えるとそれは異常な世界なわけで、 そのような特殊な設定に観衆が同化するのは難しい。 そこで、その異常な世界と日常(= […]

「UFOとポストモダン」(木原 善彦)

これって2005年の本なんだけれど、 いまどきポストモダン、とかタイトルに付けられちゃうと、 読んでるこっちが恥ずかしい。 でもUFOとポストモダンの組み合わせが、 例の「ミシンと蝙蝠傘」みたいな感覚があったので、 思わず手に取ってしまった。 あらゆる流行や事象を、時流に沿って語ることは易しい。 例えば、アイドル歌手の変遷を見ながら、 「これは、これこれの時代背景を反映している」と語るのは、 おそ […]

  • 2011.06.19
  • ,

映画「スカイライン―征服」

去年の「第9地区」に続く、エイリアン系B級映画。 何も期待せずに、ビール片手に、 宇宙人モノのB級映画を、一人で観る・・・ 最高の週末の夜の過ごし方です、はい。 ゾンビものやエイリアンもの、 モンスターものの映画には「文法」がある。 それは、逃げ場のない舞台を設定してあげること。 バイオハザードの洋館しかり、 エイリアンの宇宙船しかり、 ジュラシックパークの島しかり。 これが続編とかになってくると […]

「芸術をめぐる言葉」(谷川 渥)

「芸術家の言葉」ではなく、 「芸術をめぐる言葉」だというところがポイント。 前者であれば右脳で理解できるものだけれども、 後者となればすなわち、 哲学者や思想家が「芸術とは・・・」と語ったものが多くなるわけで、 当然左脳が疲弊する。 前者だと思って読み始めたら後者だったので、 残念、疲れましたよ、というオチ。 いくつか例を拾えば、 「芸術は決してバロックではなく、バロックは決して芸術ではない。」( […]

  • 2011.06.13
  • ,

映画「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」

感想は人それぞれだろうけれども、 自分にはさっぱり面白くなかった。 こんなSFでも、「映画はやっぱり役者なんだな」と思ってしまう。 「ファースト・ジェネレーション」ということで、 ある程度の覚悟はしていたが、 今までのような豪華キャストとは打って変わっての、 ショボキャスト。 かろうじてケヴィン・ベーコンが存在感を出していたけれども、 さすがにもう古いでしょ、この人。 単に自分が年取っただけかもし […]

「歌川国芳展」(@太田記念美術館)

歌麿・広重といった正統な(?)浮世絵に飽きたら、 北斎の天才にどっぷり浸かるか、 国芳の奇才を堪能するしか道はない。 前者にハマるにはまだ早い。 ならば、後者。 国芳の魅力は、敢えて陳腐な言葉で語れば、 オシャレで、ポップなところ。 しかし浮世絵とは本来そうあるべきで、 「憂き世」を真面目に描いたところで救いがない。 世知辛い人生を、 持ち前のアイデアとユーモアで切り抜けてみせるのが、国芳流。 一 […]

「柿の種」(寺田 寅彦)

仕事に疲れて、何となく本屋に入ったときに、 何となく手に取ったのがこの本。 物理学者でありながら、 詩人・俳人でもある寺田寅彦のエッセイ。 夏目漱石の作品は、昔ほど関心はできないのだけれども、 芥川をはじめ、百聞、森田草平、 そしてこの寺田寅彦らを門下から輩出しているあたり、 人間関係には恵まれた人だったに違いない。 さて、この本の中の、関東大震災直後に書かれた一節に、 「日本は地震国なのだから、 […]

「生命はなぜ生まれたのか-地球生物の起源の謎に迫る」(高井 研)

「なぜ生まれたのか」というと哲学的に聞こえるので、 タイトルはきっと、「どこでどのようにして生まれたのか」の方がいい。 従来までは生物なんてとても住めないと思われた熱水域に生息する、 「超好熱菌」と呼ばれる微生物こそが、 我々地球上の生命の起源である、というのが結論だ。 熱水域に限らず、 一部の微生物は驚くほど過酷な環境でも生存できることが分かっている。 このことは、地球外生物の可能性を示唆すると […]

「かたち三昧」(高山 宏)

高山宏という人の本は、随分昔に読んで、 何となくその文章が自分の性に合わないので遠ざけていたのだけれど、 今回久々に読んでみてやっぱり駄目だった。 おそらく当人としては、 種村季弘や澁澤龍彦あたりと同じ路線のつもりなのだろうけれど、 この二大巨頭には到底およばない。 西洋文学・美術・科学etc.における、 「かたち」にまつわるエピソードと自らの知見をごった煮にしたのが、この本。 挿絵だけでもそこそ […]

L型・D型の件

生物・化学の学習は中2で投げ出してしまった僕でも、 アミノ酸にL型とD型という2つのタイプがあるというぐらいは知っている。 ヒト、いや地球上のほとんどの生物は、 L型しか利用していないという謎が、 磁気単極子の問題を想起させるのと、 NASAがL型に偏ったアミノ酸を含んだ隕石を発見したというニュースが、 僕の頭にこびりついていたせいである。 なぜそこまでL型に偏るのかの原因だが、 最近では中性子星 […]