9時起床。
懸念していた二日酔いの恐れもなさそうで、
ホテルからレンタカーで出発。
まずは高知県立美術館に寄り、「大絵金展」を見る。
11時ごろ、美術館を出発し、室戸岬を目指す。
夏のような陽射しだ。
室戸岬は、高知の右下の岬。
足摺に行ったのなら、
室戸にも行かないと中途半端な気がしたわけだが、
室戸岬は、なんといっても空海修行の地として、
一度は訪れてみたいと思っていた。
歴史に華々しくデビューする前の青年空海が、
室戸岬で修したのは、「虚空蔵求聞持法」。
平たく言ってしまえば、記憶力強化の為の秘法である。
すなわち、空海の、文字通り「超人的な」能力を育てた地が、
この室戸岬なのである。
初夏のような陽気の中、土佐湾を見ながら、
快調に車を走らせる。
昨日の足摺への道が「陰」なら、
今日のは「陽」である。
14時ごろ、室戸岬近辺に到着。
空海ゆかりの最御崎寺の虚空蔵菩薩を拝したり、
展望台から岬全体を眺めたりし、
波打ち際の遊歩道を、小一時間ほど歩く。
溶岩質の岩が露出し、亜熱帯の植物が生い茂るという、
神秘的というか原始的な気が満ちた場所であり、
まさに空海修行の地にふさわしい。
道の真ん中で、巨大なスズメバチが、
懸命に葉を齧っている。
そっと迂回する。
奥まで進むと、さきほどまでいた観光客が、
ぱったりといなくなる。
茂みでゴソゴソと音がするので、思わずハッと身構えたが、
出てきたのは、意外にも野良猫。
こんな海岸で何を狙っているのだろう。
祖先は弘法大師に頭を撫でられたことぐらいあったかもしれない。
軽く汗ばんできたところで、国道に上がり、
駐車場まで戻る。15時すぎ。
19時の飛行機に間に合うべく出発。
途中「海の駅」にて海鮮丼を食べる。
驚くほど美味い。
満腹と疲労で、駐車場で30分ほど眠って目が覚めると、
昨日以上の豪雨になっていた。
海と山の交わる辺りは、天気が変わりやすいのだろう。
1時間も車を走らせると、雨はすっかり上がり、
土佐湾が夕暮れ色に彩られ始めてきた。
車を脇に寄せ、夕陽を眺める。
東京ではこんな夕陽を見れることはない。
日想観の意味が、なんとなく分かった気がする。
今回は時間に余裕をもって運転してきたはずだが、
途中のゴルフ場でプロの試合があったらしく、
大渋滞にハマる。
最終の飛行機に乗り遅れるのは御免なので、
カーナビで迂回ルートを探す。
思いっきり山道を指定されたが、
意を決して、そちらへ向かう。
街灯がない。暗い。
何とか間に合った。
空港で晩飯を食べようと思ったが、
その時間もないので諦める。